台詞には感情を込めない!

様々な異業種交流会に入っていて、色々な方のお話を聞く機会に恵まれています。
栞を読んだり、あるストーリーを読み聞かせたり、プレゼンで自分の仕事を紹介したり、経歴や人生経験を語ったり・・・

人に一番伝わるのは素直で真心がこもっていることです。
構成の組み立てや話し方の上手い下手は確かにあります。
でも変に声色を変えたり、感情たっぷりでそれらしく喋るより、素直に喋る方がより一層好感が持たれるのです。

変に芝居がかって喋るのが一番良くないです。
嬉しい、楽しい、悲しい、悔しい、怒り、恥じらい・・・などの感情を「それらしく」喋るのは
プロの世界では「くさい演技」と呼ばれます。

人に何かを伝えるときに言葉に自分の感情を入れ込み過ぎるのはダメなのです。
それは個人的な自分の体験を聞いている人に押し付けることになります。
感情と言うのは、あなたが体験したことから生じたものがほとんどだからです。

もし役を演じている時にそれをやったらどうでしょうか?
その役は作家や脚本家や演出家が作り上げるものです。
自分を常にニュートラルな状態にしておいていかようにも変化していけるようにしておくのです。

そうすると役は色を変え形を変えて、明らかにあなた以外のもうその役にしか見えない状態になってくるのです。

それが「役を生きる」ということなのです。

私たち俳優はお客様に自分の感情を押し付けるのではなく、お客様がその役を通してご自身の人生と重ね合わせ、喜び、笑い、楽しみ、悲しみ、怒ったり、明日への希望を見つけたり、とにかく感情の全てはお客様に委ねるのです。
お客様にはその権利があります。
そこに自分の感情を入れ過ぎてはいけません!


ただ、己を捨て役を忠実に生きていると、役者の人生は自ずとにじみ出てきます。
役への思い、拘り、集中力が逆に役を通して表に現れるのです。
そういったときに、役者は観客から称賛され「いい役者」としてお客様から熱烈な支持を得ることができるのです。

異業種交流会に参加していて、時々感情的に喋っている人たちを見かけます。
もちろん皆さん、喋りのプロではないので役者のように喋る必要はありません。
いや、むしろ内容をしっかり聴衆に伝えようと淡々と喋る方が、一層効果的だということを知ってほしいと思います。

変に言葉に感情を入れて喋ると聴衆はちょっと引いてしまうかもしれません。

「居て 捨てて 語る」


この劇団四季の方法論が、宇宙の法則全てにあてはまることに最近気づきました。
台詞に感情を込めないなら、演技とはどうしたらいいのか?
それは今後、追々お伝えしていきたいと思います。

久美江

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