ストーリー
JAL933便・羽田発宮古空港行きの機内に一人の男性客が乗り込みます。乗客リストには同姓の女性名があるにもかかわらず、隣は何故か空席のまま。
ドリンクサービスで客室乗務員がその男性に声をかけると、物語は5年前へとタイムスリップしていきます。
とある地方都市の二代目社長として孤軍奮闘している口下手で不器用な父親と、ミュージカル女優としての成功を夢見る娘との確執、中学時代にいじめにあいひきこもりとなってしまった息子、そして家族の幸せをただひたすらに願いながら明るく振る舞い続ける母親の4人家族の物語。
最後に母親が病に倒れることで家族は失った絆をようやく取り戻します。
亡き妻の憧れだった宮古島へ彼女が大切にしていたペンダントと共に旅立つ夫。
その機内で声をかけた客室乗務員は正に5年前の宮古島の家族旅行でも出会ったその人でした。
美しい宮古島の海や空、風をイメージしながら、夫婦愛、親子関係、人間の成長を描いた実話に基づいた朗読ミュージカルです。


1.誕生の軌跡(奇跡)
作者の宮古島での実体験
2023年12月、宮古島のリゾートホテル内で荒川久美江が実際に目撃した事柄からこの物語は生まれました。
着いた日の晩に高熱を出してしまった著者は、翌朝、島の病院の予約をしてから、遅めの朝食を摂りに朝食会場へ降りていきました。ほぼ人が居なくなった会場で一人の男性が朝食を摂る姿を目撃します。
「リゾートに男性一人?珍しいな」と思いつつ熱があったためそれどころではありませんでした。
3日間をホテルの部屋で過ごしいよいよチェックアウトの朝、遅めに朝食会場に降りていくと再びその男性を目撃します。今度はもっと近くに居たため様子がよくわかりました。
彼のテーブル席の目の前にはトレーがあり、その上には珈琲とヨーグルトが置かれていました。手をあげてボーイを呼んだ彼は「もう下げてくださって結構です」と言い、全てをわかっている風のボーイは「かしこまりました」とトレーごと下げていきました。
よく見るとその男性の前には写真立てが置いてあり、コーヒーカップを掲げて微笑んでいる女性の写真が飾られていたのです。著者はその女性と目が合い、「奥様だ!」と直感します。
男性が「今日の宮古島は雲が多いけど、良く晴れているよ」と優しく写真に語りかけます。
きっと亡くなられた奥様を大好きだった宮古島へ連れてきてあげたのでしょう。
その光景に著者は思わず涙があふれ、同時にある女性の話を思い浮かべました。
客室乗務員の実体験
著者の友人である元日本航空国際線客室乗務員の香山万由理さんが乗務中に同様の体験をしていました。
国際線の機内に、一人の男性が乗り込んできます。乗客名簿には同姓の女性名があるにも拘らず隣はずっと空席のまま。
気になった彼女は「今日はお仕事でいらしたのですか?」とその男性にたずねます。
すると男性は「いえ、夫婦旅行のはずでしたが、先日妻が亡くなりましてキャンセルも考えたのですが、お母さんがずっと楽しみにしていたから連れて行ってあげてと子供たちに言われ一緒に来ました。空席にしてしまい申し訳ありません」と話しました。
機長を始め客室乗務員全員でその話を共有したあとは、まるで奥様がいらっしゃるように振る舞い、ドリンクサービスもお食事も通常通りおこないました。着陸後、飛行機を降りる際にその男性は涙を流しながら「おかげで妻もとても喜んでいると思います」と合掌をして降りていきました。
実話を取り入れる
著者が宮古島で目撃したことと友人の香山万由理さんの機内での体験が重なり、新たな物語の発想が浮かびました。
夫婦・長女・長男の4人家族。父・寛役と娘・かおり役は、実際の著者の父親との関係性を書き込み、他にも家族関係で悩む様々な方の逸話も取り入れ、実話に基づいたミュージカル「宮古島旅情~君の声が聞きたくて」は誕生しました。
また、この物語には、筆者がずっと抱き続けた航空関係者への感謝の気持ちも書き込まれています。
初日
2023年10月4日(金)汐留ブルームードにて満席のお客様の元、初日開幕。
終演後、会場は涙の海と化し多くの感動と共に再演希望の声がわきました。
キャスト
妻・真由美役 :荒川久美江
夫・寛役 :松原剛志
娘・かおり役 :谷口あかり
客室乗務員役 :香山万由理
ピアノ演奏 :石川容子
その後、再演に向けた新曲「母の願い」が誕生しました。
2025年4月11日のライブで初披露した時の映像が以下になります。
お知らせとお願い
今後の上演に向けて、ご支援・ご協力をいただける方がいらっしゃいましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。ご質問等も受け付けております。
何卒よろしくお願い申し上げます。
ギャラリー(前回公演より)









