飛行機に初めて乗ったのは、20歳の沖縄旅行でした。
アルバイトで貯めたお金で、沖縄本島と石垣島への旅に出かけたのです。
海なし県で生まれ育った私は、美しい沖縄の海への憧れが強く、おまけに初めてのフライトと言うことでめちゃめちゃテンションが上がっていました。
たまたま非常口席に座った私と友人は、客室乗務員と向かい合う形になりました。

楽しそうにお喋りする私たちに、向かいに座っていたCAさんは「沖縄は初めてですか?」
と優しい笑顔で問いかけてくれて、「はい(*’▽’)💗」と嬉しそうに答える私に目を細めていました。
今思えば、その時からCAさんに憧れを抱くようになったのかもしれません。
劇団四季入団後は、全国を旅して廻りました。
地方公演で47都道府県全て行きました。
その過程で感じるようになったことは・・・
「劇場と空港は似ている」
人は日常の様々な感情、喜びや悲しみ、笑顔も涙も心に抱きながら劇場にやってくる。
舞台の上で全身全霊で演じる俳優のパフォーマンスを観て、お客様は共感し感動し、明日への勇気や希望を抱いてそれぞれの場所に帰っていく。
舞台を創り上げているのはもちろん俳優だけではない。
現場で動いているスタッフはもちろん、原作脚本家、演出家、作詞家、作曲家、振付家など沢山の方々が関わって初めて舞台は出来上がる。

空港はどうだろうか?
目的はそれぞれだけど、人々は空港と言う一つの場所に集まり、同じ飛行機に乗って共に旅をする。
お客様を安全に安心して運ぶのはパイロットやCAたち。
でもその裏に整備士やグランドスタッフや管制官などが居てはじめて飛行機は空を飛ぶ。

私は「夢から醒めた夢」にマコ役のオリジナルキャストの一人として制作から参加しました。

この写真はニッセイ名作劇場初演の「夢からさめた夢」の時のマコ役の写真です(1987年日生劇場で撮影)
この作品には冒頭に「夢の配達人」が登場します。
「どこか行ってみたい場所は?」
「誰か会ってみたい人は?」
と彼は客席に問いかけ、劇場はそれが叶う場所だと歌います。
劇場も空港も沢山夢が叶う場所だと私は感じるのです。
俳優をずっとやって来たからこそ、深いところで共鳴する何かがずっとありました。
「宮古島旅情~君の声が聞きたくて」は飛行機内部での情景から物語が始まります。
亡くなった妻との思い出と共に宮古島に旅立つ夫に、一人のCAが優しく話しかけます。
「お客様、お飲み物はいかがですか?」
優しくて切なくて暖かいシーンにしました。

そして「夢から醒めた夢」には「霊界空港」も出てきます。
あの世(光の国)とこの世を橋渡しする大事な場所。
私が劇団四季に入って初めて制作から参加した「夢から醒めた夢」と「宮古島旅情~君の声が聞きたくて」は切っても切れない関係にあるのです。
私はこの作品を、是非沢山の航空関係者に観ていただき、今までの私の空港愛・飛行機愛・そして沢山の場所に安心安全に連れて行ってくれた感謝の気持ちをお伝えしたいのです。
飛んでいる飛行機を見るといつも空を見上げ、「どこへ行くんだろう?」と空想します。

沢山の夢を乗せて世界を飛ぶ飛行機は、沖縄の海を始めて魅せてくれた時からの憧れ
沢山の人が集う巨大な空港は、大好きな劇場空間と同じ。

次にいつ上演できるかはまだわからないけれど、もっともっと夢を膨らませて必ず実現させます。
大好きな方々へ思いを届けるために。

夢はきっと叶う。
久美江