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声を失った夏⑱最終回― 声は人生を映し出す鏡。だからこそ守り、前へ進む ―
声は人生を映し出す鏡――。 2017年7月、突然声が出なくなったあの日から始まった長い長い道のり。6か月間で5か所の病院を訪ね、言われることも、処方される薬もそれぞれ異なり、なかなか回復の兆しが見えませんでした。 悩み、迷い、嘆き、苦しみ…。心が折... -
声を失った夏⑰― 声の回復と新たな挑戦へ ―
最後に訪れた病院で、久しぶりに声帯を診てもらいました。舌を前に引き出した状態で出来る限りの高音を出すと、ピーンと張った声帯が細やかに振動している様子をモニター越しに確認できました。声帯表面もとても綺麗で、ああ、やっと長かった闘いの日々が... -
声を失った夏⑯― 声帯ポリープではありませんでした ―
大学病院で「声帯ポリープ」と診断された私は、どうしても納得できず、劇団の後輩に紹介してもらった別の病院で再度診察を受けました。 すると、赤みはすっかり消えていて、ポリープも結節もないとのこと。あの時、「手術の可能性」まで口にされたのに…と... -
声を失った夏⑮ 〜恩師の教えを胸に〜
ST(言語聴覚士)の指導を受け、普通の会話をすることはすぐに実践できました。しかし私の場合、回復させなければならないのは「歌声」。呼吸法の大切さは改めて思い出させてもらいましたが、歌うための発声やポジション指導までは望むことができません。 ... -
声を失った夏⑭―声の出し始め「起声」について―
今日は「起声(きせい)」について少し詳しくお話しします。 声は呼気が声門を通過し、声帯が振動することで生まれます。その際、声帯がどのようなタイミング・状態で閉じるかによって、声の音質や音色、さらには音程までもが変化していきます。 ◆ 軟起声... -
声を失った夏⑬~一歩ずつ積み重ねる、新生へのプロローグ
夏風邪から声帯まで痛めてしまったこの夏、私が日々取り組んでいるリハビリはとてもシンプルです。呼吸法から始まり、軽い開口訓練、発声練習。そして必ず「コールユーブンゲン」の教則本に取り組んでいます。 いきなり歌を歌うと声が引っかかってしまうこ... -
声を失った夏⑫―STからの学びを活かす、声と命のトレーニング
昨日のブログで初めて登場した「言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist = ST)」という職業について、「それはどんなお仕事ですか?」とご質問をいただきました。 言語聴覚士とは? 人は日々「言葉」でコミュニケーションを取っていますが、病気... -
声を失った夏⑪ー私を変えた言語聴覚士との出会い
大学病院で「声帯ポリープ」と「声帯結節」の両方があると診断された私は、医師から「声を出しながら治していきましょう」と言われました。しかし当時の私は怖さが勝ち、しばらく声を出さない生活を送ることにしました。 歌はもちろん、会話も囁くような声... -
声を失った夏⑩― ついに声帯結節とポリープ、二重苦の告知 ―
2017年9月上旬、また声帯が悪化してしまいました。飲みたくない抗生物質をたんまり飲まなければならなくなり、それまでの先生に対して少し不信感が芽生え始めていた頃のことです。 医師への不信感 「医師の絶対的自信ってどこから来るのかな?」勉強? 知... -
声を失った夏⑨― 声が戻り始めた喜びと、再び訪れた絶望 ―
医師にも勧められ、いよいよ声を出し始めました。一日はゆっくり呼吸法を、二日目からは恐る恐る声を出してみたのです。 一旦、全く出なくなってしまった頭声(ソプラノボイス)が、少しだけ戻ってきていました。 「あっ、大丈夫かも!」 そんな手ごたえに...