声には心の在り方全てが現れます

35年以上ボイストレーナーを続けて来て実感していること。

それは・・・心の在り方と声との関連性です。
声程心理状態が顕著に現れるものは無いと言い切れます。
声って色も形もなくて目にも見えないのに、物凄く色々な表現の仕方をしますよね?

本当にいくらでも表現できますね。何故だかわかりますか?
これ全部、心の在り方、心理状態が声に反映されているからです。

いくらボイストレーニングの技術を教えても、体をほぐす体操をしてみても声が全く変わって行かないことがあります。
ああでもない、こうでもない・・・とあらゆる方法で伝えても生徒たちの声に全く変化が見られない。
本当にお手上げ状態になった時に私は、ひと言尋ねます。

「ねえ・・・何かあったの?」

そうするとたちまち泣き出してしまう生徒さんたちが沢山いました。

「ああ、やっぱりだ・・・」

彼女たちが悩んでいたのは声のことではなくて、家族の事、彼氏の事、進路の事、将来の事・・・・
心に抱えきれないほどの悩みでいっぱいだったのです。

心が沈んでいる時、何かに迷っている時、大きな壁にぶつかっている時、声は出るようになりません。
そうなるともうボイストレーニングの問題ではなく、心理カウンセリングの領域になってしまいます。
レッスンを中断して話だけを聞いてあげたことも沢山あります。

人は誰かに話す事で、自分の本当の気持ち、つまり潜在意識に気が付く事があります。
そして本音を聞いてもらう事で安心して穏やかになれます。
穏やかで冷静になれれば、心の問題も客観視できて、自分で解決していく方法も見つかるかもしれません。
心の丈を吐露した後には顔がスッキリして、声がスーッと出るようになる現実も沢山立ち会ってきました。

ショックな出来事のあまり「失語症」になってしまう人もいます。
声帯にも周囲の粘膜も筋肉も何も問題はないのに声が出ない。
本当に辛い症状だと思います。

それを治すのはボイストレーニングではありません。心理カウンセリングです。
心が緩み、安心感が得られれば声は自ずと出てきます。そうしたらやっとボイストレーニングの出番ですね。

実際、私も2018年に「うつ病」を患った時は、歌なんか歌える状態ではありませんでした。

「声」=「心」なのです。

声と心の関連性などもこれからお話しできればと思います。

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