日本語から鼻濁音が無くなる日

歌や演技のレッスンをしていて、最近「鼻濁音」や「無声音」が出来ない人に沢山出くわします。
特に最近の子供たちは「鼻濁音」を発音できない子がとても多いです。

鼻濁音とは「ガ行」の発音の事で、
「学校」「頑張る」「我慢」「行事」「軍配」・・・などの濁った感じの音に対して、
「私が」「すごく」「授業」「音楽」など鼻の裏側に響かせる音の事で、濁音に比べて、柔らかい感じの音になります。
単語の頭に来るときは必ず濁音、単語の途中または最後にくるときは鼻濁音です。


この鼻濁音がきちんと区別して話せる人は、日本語がとても綺麗で繊細に聞こえます。
芝居中や歌中での台詞では、この鼻濁音はとても重要です。

ところが、最近の子供たちはほとんど発音できません。
鼻濁音をやらせようとすると、「Nya」や「Gya」と発音してしまう子供が多いです。
以前演技指導をしていた大手芸能事務所の子役たちのもう90%はできませんでした。

鼻濁音は、鼻の後ろの空間に響かせるものなので、慢性の鼻のアレルギーや蓄膿症、または共鳴腔が狭い人は苦手なようです。
でもこれは、声自体の響きにも凄く関わっているので、歌や演劇をやる人にはとても重大な問題となってくるわけです。

地方的なものもあるらしいですが、一般的にこの鼻濁音が日本語から消えつつあるのは間違いありません。
鼻濁音は、日本語を美しく優しくまろやかな響きにしてくれるので、可能ならば出来るように直した方がいいです。

また関西では「無声音」の発音がないので、台詞を喋る時に苦労される方が多いですね。
試しに「靴下(くつした)」と発音してみてください。
正しくは「く」が無声、「つ」が有声、「し」が無声、「た」が有声です。

でも関西出身の方が喋ると全部の音が有声音になってしまいます。
「有声音」は声帯が振動する音の事で、「無声音」は声帯が振動しない音の事です。

喉ぼとけを触りながら「し~~~~」と声を出して言ってみてください。声帯の振動が指に伝わってくると思います。今度は声をださずに「し~~~~」と言ってみると息を吐く音はしても、声帯は振動していないのがわかると思います。
これが「有声音」と「無声音」の違いです。

以前大阪出身の若い生徒さんがレッスンに来た時に、この「無声音」の話をしたら、
「何やそれ~、初めて聞いた~!」と大笑いされたのには、さすがに苦笑いでした(;´▽`A“
「無声音」の存在や概念そのものがないんですよね。

でもやはり美しい日本語を話すためには「鼻濁音」や「無声音」は出来るようにした方がいいと思います。
演劇を志す人は特にそうですね。

もし「無声音」や「鼻濁音」でうまくいかなくて悩んでいる方がいたらご相談くださいね。
レッスンでトレーニングすることが出来ます。

久美江

  • URLをコピーしました!
目次