ゼロ幕を作ることで役が生きてくる

芝居の台本を頂いて役作りをしていく上で絶対に必要なのがゼロ幕を作ること。

当たり前ですが舞台は第一幕から始まります。
そこに登場人物の一人として立つわけですが、赤ちゃん役でない限り、既に人生を生きているわけです。

どこで生まれ、両親はどんな人だったか?

どんな環境で育ったか?

どんな体験をしてきたか?

どんな人と出会って来たか?

現状はどうなのか?

それらを全て想像して、きちんと設定しておくことが大事なのです。
それをちゃんとやっておくと、登場した時に役が体からにじみ出ます。
そして舞台上で生きる中で発する台詞に嘘がなくなってくるのです。

人が普段使う言葉って環境や周囲の影響を大きく受けますよね。だから環境設定がとても大事なのです。

時々、何故この人はこういう台詞を吐くんだろう!?って凄く考えさせられることがあります。
台本の中にその理由が描かれていないときは、生まれや育った環境や周りの人々の影響を考えます。
その時に作っておいたゼロ幕が生きてくるのですキラキラ

その点と線が繋がるとふーっと腑に落ちて、自分の言葉として喋れるようになります。
自分が発している言葉にちゃんと理由や意味があるので、自然な言葉として生きてくるのですね。

劇団四季では言葉をハッキリ発音するための母音法の訓練のみならず、台詞に対する意味付け、動機付け、ゼロ幕設定を徹底的に訓練してきました。

嘘のない芝居=リアリティを深く深く追求してきたのです。
だから猫が歌おうが踊ろうが、ライオンが恋をしようが、魔法の絨毯が飛ぼうが、お客様は違和感なくスーッと物語の世界に入っていけるのだと思います。

舞台俳優は、アスリートのような肉体と台本を読み解く繊細な感受性と豊かな表現力を兼ね備えていなければなりません。

まさに心技体

それをしっかり学べたことは今でも私の宝物となっています。


これを今後、会社研修やセミナーなどで、コミュニケーション向上やプレゼン力を身につけるためのツールとしてお伝えしていけたら嬉しいです。

久美江

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