「高齢者」になる前にやっておくべきこと

ある健康番組で「尿漏れ」のことをやっていました。


若い人たちにはまだそんなこと考えもしないでしょうけど、高齢者になると泌尿器系や婦人科系の憂鬱な症状や病気は避けて通れないものがあるのです。
そして、いつかは誰でも「高齢者」と呼ばれる時がやってくるので、全く知らん顔も出来ません。

番組内で「尿漏れ」の一番の原因は「骨盤底筋群」の衰えであることが指摘されていましたが、この「骨盤底筋群」は別名「骨盤隔膜」と呼ばれ、歌にとっても大変重要な役割を果たしているのです。
何故ならばこの骨盤隔膜が呼吸時に本物の横隔膜と同じ動きをしているからです。


肺の奥深く吸気を取り込むと、肺のすぐ下にある横隔膜は下がり横隔膜の下にある消化器系の臓器は圧迫されます。
臓器は腹部の壁へと圧迫されますが、当然上から下がって来た横隔膜によって下向きにも圧迫されます。
ですから、骨盤底は横隔膜が下がると下がり、呼気時に横隔膜が上がっていくと、骨盤隔膜も上がるのです。



骨盤底筋群が柔らかく張りがあると、呼吸時に自由に動かすことが出来、それが特に呼気時(息を吐く)に力強く生き生きとした声をだすための「支え」となってくれるのです
でも呼吸時に横隔膜を意識するのは難しいですし、横隔膜を意識するのでは高すぎます。
豊かな呼吸を司っているのは「骨盤隔膜」なので、こちらを意識して呼吸法のトレーニングをやることが有効です。
「尿漏れ」対策のために色んな体操がありますが、最もわかりやすく続けやすく有効的なのは「呼吸法」と「歌を歌う事」だというのは明白な事実なのです。
下が骨盤底筋群の絵になります。


番組内で手術を受けた女性は、骨盤底筋群の衰えにより子宮や膀胱まで下がり、身体から飛び出してしまう!と言う衝撃的な内容でしたが、歌を歌い続けているとこれらの筋肉は継続的に使われるので鍛えられ、それらの予防になります。
おまけに若い人の生理痛や体の冷え、腰痛、便秘なども改善される事もあるのだから、やっぱり「歌う事」は老若男女全ての人にとって最高の健康法ですね



ただ大事なことは、臓器や筋肉の位置、働き、関係性を正しく理解することだと思います。
骨盤隔膜を闇雲に鍛えることは難しいです。
きちんと理解し、正しいトレーニングを心がけてください。
立ってやると意識しづらいので、最近は生徒の皆さんに椅子に座ってもらって呼吸法や発声をやっています。そうすると比較的安定した呼吸が生まれ、声がスーッと抜けていく気持ちよさを感じることが出来るのです。
生徒たちはみんな口を揃えて「わかりやすい」と言ってくれます。
喉を前面に押しまくって大きな声を出し続け、声にトラブルを抱えてしまった人にも、このやり方は有効です。

「大演奏家は骨盤で育まれる!」と言っても過言ではありません。
身体の歪みはあらゆる病気を引き起こすと言われていますが、音楽家の生命もこの「骨盤」がカギになっている事が多いのです。
喉や発声にトラブルを抱えている方は、意外に喉ではない違う所にその原因があるかもしれませんよ(^_-)-☆

久美江

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