芝居は“感情”ではなく“役を生きる”~演劇から学ぶプロフェッショナリズム

「俳優は“気持ち”や“感情”で台詞を喋っている」と思い込んでいる方が意外に多いものです。
でも実際は、まったく逆です。

俳優が舞台で台詞を話す時、個人的な感情や気分は一切排除しなければいけません。
大切なのは「役の人生」に集中すること。台詞の一つひとつに、その役の人生が詰まっていて、どんな思いでその言葉を発するのか、どんな経緯があってその行動に至るのか――それを忠実に表現し、お客様に“渡す”のが俳優の務めです。

以前にも【芝居は「役になりきらない」ことが肝心です】と言う「タイトルでブログに書きました。

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だからこそ、声や肉体は鍛えておかなければなりません。台詞が感情で震えてしまうようではいけないのです。

本番で泣いた生徒に伝えたかったこと

以前、生徒たちのオリジナルミュージカルを制作演出した時のこと。
学園ものの作品で、同級生同士のいさかいのシーンがありました。リーダー格の女生徒が一人の女子生徒に怒りをぶつける場面です。

私はその役の生徒に「絶対に泣いてはいけない。自分の感情に負けてはいけない」と伝えていました。

ところが本番、彼女は怒りよりも悔しさや悲しさが前面に出てしまい、声が震え泣き台詞になってしまいました。
客席で観ていた私は心の中で「泣くな!泣いてはいけない!」と何度も繰り返していました。
稽古場ではきりっと演じていた彼女でしたが、本番で思いが溢れてしまったのでしょう。

でも、本番こそ冷静でなければならないのです。
稽古場で積み上げてきたことを、舞台の上で正確に再現する。それが“プロ”なのです。

恩師・浅利慶太氏の教え

私が劇団四季にいた頃、演出家・浅利慶太氏から沢山のダメ出しをいただきました。
「感情で演じるな。正確に伝えろ。」
「舞台に立つ者は冷静でなければならない。」

当時は厳しいと感じた言葉の数々も、今は自分が指導する立場になり、その意味が痛いほどわかります。

「台本に書かれてあることを冷静に、正確に伝える」
これは演劇だけでなく、ビジネスの場でも非常に大切なことですよね。

この演劇手法を“企業研修”へ

舞台で求められる「冷静さ」「客観性」「正確な表現力」は、ビジネスシーンでも大いに役立つものです。
特に、チームリーダーやプレゼンテーション、人前で話す機会が多い方にとっては、演劇のトレーニングは大きな武器になります。

私はこれから、この演劇の手法を企業研修やビジネス研修にも活かしていきたいと思っています。


では、「感情を交えずに表現力を磨くにはどうしたらいいのか?」

この問いに対する具体的な方法やトレーニングこそ、私が今後、企業研修の中でお伝えしていきたい内容です。

演劇の現場で培ってきた“ブレない表現力”“感情に流されない強さ”“言葉に命を吹き込む技術”――
これらは誰もが身につけられる「技術」です。才能ではありません。

“演じる”という視点から、“伝える”力を育てる。
その実践的なアプローチを、ぜひ多くの方に体感していただきたいと願っています。

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