私が声楽を習い始めたのは、中学2年生の時です。
宝塚音楽学校を受験したくて、小学校の音楽の先生にご紹介していただきました。
始めての声楽の先生は、24歳とまだ若く「私も勉強中だから一緒に学びましょうね(^^)」と言って、初歩から丁寧に教えてくれて、私はその先生が大好きになりました。
高1の時、その先生が引っ越しのため別の先生をご紹介されました。
新しい先生は地元の短大を出たばかりの21歳。
正直言いますが、彼女は全然ダメでした(-_-;)
高校生なんて歌い手としてはまだまだ幼い。
まして、身体が小さかった私の声帯は細くて短くて赤ちゃんみたいなものでした。
それでも、前の先生の教えが良かったおかげで私は少しばかり声が出るようになっていたのです。
そうしたら、その先生はほとんど発声を教えることもなく、いきなり私に、VerdiやPuccini、Mozartなどのドラマチックなアリアを課題で与えるようになりました。
今、考えたら異常です。
高1で、そんな大曲を歌い続けるなんて危険極まりないです💦💦💦
でも、高校生にしてはちょっとばかし声が出たものだから、いい気になって歌い始めてしまいました。
それを繰り返していた高2の夏、突然声が出なくなりました。
地元の病院に行っても全く埒があきません。
母の知人の声楽家の方にご紹介いただき、東京の音声学専門の医師に診ていただきました。
それが後に、東京藝大で音響生理学と音声学を学ぶことになる著名な耳鼻咽喉科の医学博士・米山文明先生でした。
私は、そこから音声学にハマるようになっていったのです。
幸い、結節やポリープなどは出来ていませんでしたが、筋肉疲労、粘膜不全による「音声障害」一歩手前で、
このまま歌い続けたら、完全に「音声障害」になり、一生歌うことは出来なくなると言われました。
私は、直ぐに地元のダメ先生に習うのをやめました。
その後、新たな素晴らしい恩師との出会いが待っていたのです。
(続く)

久美江