声を失った夏⑨― 声が戻り始めた喜びと、再び訪れた絶望 ―

医師にも勧められ、いよいよ声を出し始めました。
一日はゆっくり呼吸法を、二日目からは恐る恐る声を出してみたのです。

一旦、全く出なくなってしまった頭声(ソプラノボイス)が、少しだけ戻ってきていました。

そんな手ごたえに、胸が高鳴りました。

今日はラまで、明日はシ、明後日はドまで出してみよう――
最初は本当にそう思っていました。

でも、声が少しでも出ると嬉しくて仕方がなく、今まで練習できなかった焦りもあり、本番の歌まで練習し始めてしまったのです。
きっと、同じ立場の人なら誰もがそうしたでしょう。


舞台人にとって、十分な練習なしで本番を迎えることほど恐ろしいことはありません。
在団中も、「稽古不足のまま初日が開いてしまう」「突然やったこともない役をやらされる」――そんな悪夢を幾度も見て、うなされたものです。

だからこそ、練習できることが嬉しかったのです。

ちなみに下の写真は劇団四季ファミリーミュージカル「裸の王様」
私はダンサーさんたちに混ざってお針子役を踊っています(センターでライトが当たっているのが私)
再演時、2年間位空いていたのですが、一週間の稽古で本番に出なければならず、緊張で一睡も出来ずに出演した記憶があります(^^;)



歌い始めた4日後の結末は、実に悲しいものでした。
練習は一日20〜30分程度と短時間だったにも関わらず、声帯は疲労し、また嗄れてきてしまったのです。

病院で診てもらうと、声帯の周りには痰が絡まり、状態は悪化。
「なぜ? どうして? 先生は“もう声を出していい”って言ったじゃない!」
涙が溢れ、再び出された薬を両手に抱えて帰るしかありませんでした。

頭の中はネガティブな思考でいっぱいになっていました。


今振り返れば、まだ声を出すには時期尚早だったのです。
喉を壊すと、修復には時間と繊細なリハビリが必要です。
それを焦ってしまい、逆に悪化させてしまったのでした。

さらに大きな問題がありました。
歌い始めたとき、私の意識は「声帯」にしか向いていなかったのです。

のどに全神経を集中し、恐る恐る声を絞り出す。
その結果、胸も肩も首も固まり、一番大切な「呼吸」が止まってしまっていたのです。

「上半身をリラックスして!」と生徒には言い続けていたのに、自分自身は全くできていなかった――。
声を失ったショックで、心も体もカチコチになっていたのです。

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クミエ・アラカワミュージカルClass主宰
夫婦でサポートする安心婚活「結婚相談所シェ・ラムール」代表
荒川久美江

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